斉藤 英二郎(さいとう えいじろう)本作の主人公。
名門の永禄大学卒の研修医。作中序盤で25歳。実家は千葉県銚子市とみられる(銚子電気鉄道沿線と思しき光景が描かれることから)。5人兄弟の2番目で、父親は中学校の英語教師。
ストーリー
純粋で熱い理想を持つ研修医が、医療現場の矛盾や問題点に悩みつつも敢然と立ち向かい、成長していくストーリーを描いてる。
大学卒業時には医者としての理想を抱き希望に燃えていたが、実際の医療現場に携り給与面の安さなど、理屈や正義で解決しない厳しい現状を知ることとなる。性格は純粋で一直線で患者のためを思い奔走するが、その度日本の医療事情の現実と衝突する。
医療現場の現実と最初の挫折
ストーリー序盤ではの研修医斉藤英二郎のハード過ぎるな生活ぶりや、研修医でありながら一人急患の対応をしなければならない医療現場の厳しさに心折れるが、理想だけでは通らない現実を知りとにかく前に向かわなければならないスイッチが入ったようにも感じる。また読者としてもに日本医療現場の課題を序盤強く訴えかけられストーリーに入り込んでいくきっかけが多く仕掛けられている。
詳細としては、研修医の夜勤始めての一人任された日から事故でかつぎこまれた重態の患者と出会う。すさまじいその怪我の描写からもわかるように一分一秒の余裕もないのにもかかわらず自らの自信のなさから斉藤は逃げてしまう。理想とは正反対な病院に利益を重視す院長がその患者を助ける形となり、命を助け金をもらって何が悪いと言いきる院長は決して悪人でないように感じる。しかし命を助けるという純粋な気持ちで医者になった斉藤にとっては、自身の力のなさと理想では人は助けられない現実を知ることになる。
結局助からないのではないかと思ったほどの重傷だったその患者は、見事にその後一命を取り留める。家族と面会し無事を喜ぶその笑顔はまぎれもなくその院長がすくいとったものだ。この頃からやった主人公斉藤の医者として口よりも行動を示すことのスイッチが入ったように感じる。
矛盾に感じることには口に出して相手の大きさに臆する子なくに思いをぶつけるタイプであるが、エリートでここまできた斉藤にとってどこでその精神性は養われたのか。斉藤のような生き方は理想的であり時には爽快感があり羨ましく思うこともある。
最後に
どこから理想を突き通す精神性が養われたのか、その点の考察は非常に難しい。序盤の斉藤の表情を見る限りエリート大学を出た理想に満ち溢れた普通の研修医にしか見えない。多くの研修医が現実にぶつかりその現実を受け入れることで、病院という中で研究をし論文を書き出世の道を歩むことになるのだろう。出世よりも正しさを突き通すその行動を踏み出す一歩は非常に重く、明らかに斉藤の育った環境の中か元からある性格面の何かがあるように感じる。その踏み出せるかの違いがこの作品の最初のきっかけであり、それが何かは今後も作品を複数回読みながら掘り下げていきたい。
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